ワイン サンライズのお知らせ

この手の、「飲み頃はいつか？」とか「美味しいかどうか？」
などのご質問はよく受けますが、美味しいかどうかというのは飽く迄主観だ
ということを先に申し上げておきます。

わたしは元ソムリエです。
以下、その観点からわたしなりにお答えさせていただきます。


ボルドーの総体的なポテンシャルの一般的な見方として言うならば、
84年のボルドーの飲み頃は、多分とか恐らくとか曖昧ではなく、既に過ぎています。
美味しく飲めたのは、1990年代前半頃が妥当だと思います。遅くとも後半まで。
これは、評論家が推奨するものといった程度に捉えれば良いのではないかなと思います。


ただ、先に申し上げたように、味と言うものは人の主観により捉え方は
千差万別で、いま飲んで美味しいと感じる方ももちろんいらっしゃるでしょう。
このムートン84をお飲みになる方がどういう好みなのか という事の方が重要なのでは？
まぁ確かに、ワインを知っている人ならば、何かそれなりの理由がない限り、今時点でこのワインは購入しないのも確かなことです。
ムートンにはどんなヴィンテージであろうとも相当の金額が掛かります。
そのような金額を払うならば、
ムートンの威力を最大限に発揮した時に飲もうと、普通はそう考えるでしょう。
ただ、このムートン自体に高い価値はあり、時が違えども
その価値を素直に受け入れることも素晴らしい事だと思います。

推測になりますが、現在のムートン84の味わいを参考までに。
衰退期に入っており枯れたようなニュアンスはもちろん、果実味はとっくに消え去り柔らかな、特徴をあまり感じないワインになっているでしょう。瓶の状態によっては酸を前面に感じる場合もあるかもしれません。こればかりは開けてみないとわからないところです。


グラスについて
リーデルは非常に優れたメーカーです。
ただ、その中でも様々にある種類から選び方を間違えては無意味になります。
ボルドー用とおっしゃってますが、同じボルドーでも今回は古酒になります。
しかも時が過ぎたワインです。なので尚更なのですが、、、
通常のボルドータイプのグラスではなく、シャルドネ用などの小さめのグラスが好ましいです。
恐らく香りは立たなくなっているためです。
理想は「ソムリエ」シリーズの「ボルドー(グラン・クリュではない)」です。
ヴィノムシリーズで近いものと言えば、その形状や容量からやはりシャルドネでしょうか。




飽く迄も一ソムリエだった者としての見解により
他の回答者様のご回答の気になる点を恐れ入りながら申し上げておきます。

・「ムートンは非常に安定してるので美味しいはずです」
五大シャトーの中では安定していない方です。けっこうばらつきもあります。

・グラスについてボルドータイプはお奨めではない点は申し上げたとおりです。

・飲み頃に関しても申し上げたとおりで、ピークでもないし「かもしれない」でもないですしとっくに過ぎています。

・「ソムリエが敢えてお客様に提供する事のないワインです」
どういう意味でおっしゃってるのかわからないのですが、少なくともこれは有り得ないです。提供する事は勿論ありますし、お客様に合わせてお奨めする事さえもあります。

・「普通に考えて３０年〜４０年前のワインなのに普通に飲めてしまう事自体が凄い事だと思います。味わいは人それぞれ好みが分かれるので『絶対美味しい！』とは言えませんが、それだけ昔の飲み物が普通に飲めてしまうというだけで価値があると思います」
この方、素晴らしい事おっしゃってます。このような方に高い安い関係なく良いワインを飲んでいただきたいです。

・「一緒に合わせる食事などにも気を配ると、」
弱りきったワインなので料理に合わせにくいだろうと思われます。
ワインが負けるような、そんなイメージを持ってしまいます。
鶉や鶏などの淡白なお肉、軽めソースか
ソース無し塩コショウくらいのシンプルな味付け。
内臓の割合が少なめ若しくは使っていないパテなども。
わたしでしたら、パンのみでいただくだろうと思います。


以上、参考になれば幸いです。